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拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
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永禄9年1月16日に開催された連歌会で詠まれた物です。
恒例により一句を一首にカウントしています。
また、非常に長い連歌会なので、基本的に義久の前後しか入力していません。御了承下さい。

「雑抄」
永禄九年正月十六日
  第十
賦何船連歌
織はゆる世やはた花のから錦 日新
糸くりいたす春雨の空 忠金
石はしる瀧は氷のとけ初て 昌宗
空も長閑に渡る朝かせ 義久
行やらて月もいさよふかりの声 忠元
(14句省略)
日もいりあひのかねのをちかた 昌宗
出ぬへき月や尾上に籠るらん 義久
しけミかくれの山のさをしか 忠元
(12句省略)
ことはりをしらてかこつハはりなしや 忠元
親のゆるさぬこひのあハれさ 義久
思ふ事ひたや籠りに送りきて 季久
(4句省略)
門よりゆかしふる寺の春 忠元
ともし火ハ霞の内にほのかにて 義久
たれか月まつよひふくるころ 友治
(5句省略)
をくれさきたち立る小車 昌宗
花見にハ誰も残らすいさなひて 義久
おりてかへるやつゝし山ふき
(4句省略)
ゆふつけの声になく\/別きて 国眞
おもへはかたミ袖のうつり香 義久
たちはなの花ハちり行夕風に 忠知
(11句省略)
あかつきをおもへハ春の名残りにて 国眞
けふの三月のなとくハゝらぬ 義久
山さくらをそきハ心ありやせむ 珠玄
(14句省略)
すミつかむやハ山の下庵 国眞
小夜時雨ふることをのミよすかにて 義久
かたれはかたりあかす友とち 友治
(6句省略)
つく\/と日もなか雨の打そゝき 武久
むかふみきりの春のしつけさ 義久
池水やさゝなミ寄る風立て 昌宗
岩ほもやまもうこきなき陰 忠知
日新一句 友治六 忠金一 久張四 昌宗六
親治四 義久九句 国眞六 忠元十一 経威九
珠玄十二 實親一 季久七 玉進一 忠知六
武久六 意外六 忠辰六 久朗二
(「薩藩旧記雑録」後編1-324)


メンバー解説
日新:島津忠良
友治:不明
忠金:伊集院忠棟
久張:不明
昌宗:平田昌宗
親治:不明
義久:島津義久
国眞:比志島国真
忠元:新納忠元
経威:村田経威か?
珠玄:不明、連歌師か
實親:不明
季久:喜入季久
玉進:不明
忠知:不明
武久:不明
意外:不明
忠辰:不明 薩州家の忠辰じゃないよね、多分…
久朗:川上久朗

255首などの歌会とメンバーがかぶっています。この人達が永禄頃の近臣という事になるのでしょうか。





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本日は義久が亡くなった(ただし旧暦)です。402回忌になりました。
…この企画初めて3年になるのか…(ため息)


永禄8年頃の歌会に際して詠まれた物です。テーマは「秋の月」の様子。
参会者全メンバーの歌も掲載します 打つのめんどくさいけどヾ(--;)

「義久公御譜中」
「御納戸方ヨリ出」

詠月前松和歌
           修理大夫義久
くもりなき月のひかりに立ならふかすさたかなるみねの松かえ
秋日同詠月前松和歌
           左近将監久朗
なかめつゝふけ行まての月影にやゝすみわたる軒のまつ風
秋日同詠月前松和歌
           忠金
住の江や松ふく風も浪のをともひとつにすめるあきの夜の月
秋日同詠月前松和歌
           刑部丞忠元
うら浪の夜は二木に鳴尾なる松をてらせる月の光に
秋日同詠月前松和歌
           右衛門尉経光
一もとの松にうら風音つれて月はえわたる志賀のから崎
詠月前松和歌
           沙弥意外
あらしふく尾上の松にやとりてやくもらぬ月の夜をてらすらむ
秋日同詠月前松和歌
           前河内守平重持
ミねたかみいく代の秋になれぬらん松の葉わけの月の夕かけ
秋日同詠月前松和歌
           右衛門兵衛尉久治
吹からにそらも心もすみはてゝ月にはくもゝ軒の松かせ
詠月前松和歌
           玄傳
ひとむらの松のみえるをしらせけりひるはかりなる月の盛は
秋日同詠月前松和歌
           備前守久秀
宵の間はしほくもりせし月かけをふけてすませるうらの松かせ
詠月前松和歌
           其阿
うらなみのよる\/ことに月すめはあらしの声もたかさこのまつ
詠月前松和歌
           沙弥玄佐
てる月や見る人からに常よりもひかりそへたる庭の玉まつ
詠月前松和歌
           珠玄
夜もすからさやけき月のともし火に浪やかくらむ墨のえの松
秋日同詠月前松和歌
           散位書信
宵の間はさはるとみえてふけ登る月さやかなる山まつのかけ
秋日同詠月前松和歌
           前丹後守友治
烏羽玉の夜わたる月や山松の葉分のかせにひかり添らむ
秋日同詠月前松和歌
           雅楽助経威
つれなさのこゝくらへる松の葉にやとりなれたるあり明のつき
秋日同詠月前松和歌
           實親
こゝろなき山さと人もみつゝきけ月をやとせるミねの松かせ
秋日同詠月前松和歌
           左衛門尉長治
かけたかき月をやとして砌なる松も千とせのいろやそふ覧
「朱ニテ」「永禄八年之秋」
(「薩藩旧記雑録」後編1-338)


参会者メンバー
・修理大夫義久:島津義久
・左近将監久朗:川上久朗
・忠金:伊集院忠棟 この時点でまだ改名してなかったのか?
・刑部丞忠元:新納忠元
・右衛門尉経充:不明
・沙弥意外:不明
・前河内守平重持:不明
・右衛門兵衛尉久治:伊集院久治か?
・玄傳:不明
・備前守久秀:不明
・其阿:浄光明寺住職 其阿西獄か?
・沙弥玄佐:樺山善久
・珠玄:不明、連歌師か?
・散位書信:不明
・前丹後守友治:不明
・雅楽助経威:不明
・實親:不明
・左衛門尉長治:不明

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永禄10年2月25日に行われた連歌会の物です。
恒例につき上の句+下の句もそれぞれ1首としてカウントしています。

なお非常に長い連歌会なので、これまた恒例により基本的に義久の前後しか書きませんのでその点ご容赦下さい。

「御文庫三番箱中」
永禄十年二月廿五日
 賦山何連歌
風はおれ雨は身をしれ花盛 義久
小蝶や露にはねしほるらん  其阿
月残る墻ほの朝気長閑にて 伯囿
寝られさりしや起いそきする  珠玄
誰となくむすひ捨たる草まくら 家久
(10句中略)
風吹すさミ空の涼しさ  喜庵
片岡や折はへせミの啼くらし 義久
宿り今ハたとふや旅人  珠玄
煙こそ遠なる里のしるへなれ 家久
(3句中略)
あさまたきかりに出しにも暮る野に 家久
(6句中略)
月さやかなり軒の玉たれ  喜庵
はし居してそのまゝ夜をや更すらん 義久
別れし友にめくりあひつゝ  珠玄
(13句中略)
あしからしたゝ行すゑをまて 家久
(2句中略)
さま\/にくはりしきぬの春かけて  久治
人をわかぬや哀ミとしる 義久
假初にきても名残の大井河  殊玄
(21句中略)
伏かねて鴫立月の有明に  其阿
門田の面のさそな露霜 義久
九重のうちもさひしき秋の風  珠玄
旅にきるへきころもをくらん 家久
(12句中略)
逢事ハ稀にも涙いかにせむ 家久
(2句中略)
かけひをつたふ水ほそきをと  重持
さしのほる光を氷下とけて 義久
こゝろよけにもかハつなくなり  友治
(5句中略)
みきりの月にまとひあかさん 家久
義久六句 長総七 其阿十句 伯囿一句
友治六 珠玄十二 忠元九 家久七 友親一
久秀六 重持六 昌宗六 政郷七 久治五
友見六
(「薩藩旧記雑録」後編1-366)

この連歌会の特徴は御覧の通り、島津家久(中務大輔)が参加していること。天文6年(1547年)生まれなのでこの時数え21歳になります。また、家久は後に古今伝授を受けるなど和歌に長じていたと思われる人物のはずなのに、ほとんど作歌が残されていないことを考えても、この連歌会は貴重な史料かと思います。

以下作者解説
・義久:ご存じ島津義久
・長総:不明
・其阿:浄光明寺住職 其阿西獄か
・伯囿:島津貴久
・友治:不明
・珠玄:不明、連歌師か
・忠元:新納忠元
・家久:島津家久
・友親:不明
・久秀:不明
・重持:不明
・昌宗:平田昌宗
・政郷:不明
・久治:伊集院久治か
・友見:不明

あと、ここで不思議なことを指摘しておきます。
この連歌会には「喜庵」という人物が参加しています。拙HPを御覧の方で、少し記憶がある方もいらっしゃるかと思いますが、おそらく野間喜庵のことと思われます。詳しくはこちらを。この人は実は島津運久の庶子で、島津貴久から見たら義理の叔父に当たる人です。5句読んでいるのですが、何故か最後の人名リストに掲載されていません。何故?!

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あけましておめでとうございました
本年もよろしくお願いします。



一気に過去にさかのぼり永禄11年、祖父・島津忠良(日新斎)の死去に際して詠まれた挽歌です。

「御文庫三番箱一巻中」「日新公御譜中正文在加世田衆河村覚右衛門秀屋トアリ」
梅岳常潤在家菩薩と申ハ、 祖父相模守忠良公文武二道の理明らかにして、薩隅日を掌に、治世の風を吹かせ、年ひさしく栄花にさかへ給ひ、内にハ御心さし直にして、諳禅道に心「本ノママ」 入道日新斎号御名、和尚の位、世に隠れなし、予またいとけなかりし時より、おほふはかりの袖もはたはり、広く夏冬をはくゝみ、朝にハ□の窓をひらき、夕にハ弓馬の道を教へしなと、みな夢のやうにて、二もなく三もなきに、肥後国堺在陣暇無く、遠路を隔しに、暮秋の比より病床に臥給、雪月十三日、薩州加世田といへる所にて、燈のやうに消果給ひぬと告しらするに、空を踏心ちいへはさら也、おもひのあまり愚なる心みしかき筆の海ハ汲尽しかたきを、けに五体のかたちと聞より、一首をつらね手向たてまつるものに南、
                 修理大夫義久
けさは日のあらたなりつる影もはや
 西なる空に雲かくれつゝ
   永禄十一年拾二月廿一日
「右正文ノ儘写ス、参照スヘシ」
(「薩藩旧記雑録」後編1-468)

前書きによると、肥後国への戦闘に出ていたため、自分を溺愛してくれた祖父の臨終の場に立ち会うことが出来なかったようです。戦国武将の哀しい宿命ですね。

なお、この和歌には異文が存在します。

今日ハ日の新たなりつる影もやゝ西成空に雲かへれ「雲かへれす「本ママ」つゝ
(「薩藩旧記雑録」後編1-469)



関連ネタ こちら

 

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天正四年四月十四日に詠まれた物です
実は後の列席者の歌がものすごく多いのですが、頑張ります(`・ω・´)

「正文有之」
夏日詠月前郭公倭歌
             修理大夫義久
くもりなきこゑは御空のほとゝきす
 さなから月のミやことりかな
詠月前郭公倭歌
             前久
こゝろあらはこよひハわきてほとゝきす
 こゑのかきりを月になかなむ
夏日同詠月前郭公和歌
             因幡守平貞知
あくるまてとほそはさゝし月のミか
 こゑもさたかになくほとゝきす
詠月前郭公和歌
             釈其阿
もろともにおもひかはすやゆふ月夜
 いつれはさそふ山ほとゝきす
夏日同詠月前郭公和歌
             竹松丸
よひのまのひとむらさめのそらはれて
 月にこゑきくほとゝきすかな
詠月前郭公和歌
             沙弥玄佐
人伝のそれたにあるをほとゝきす
 雲ゐの月の夜半の一こゑ
夏日詠月前郭公和歌
             上野介久隅
ほとゝきす月に啼よの明る間ハ
 ゆめうつゝともわかれさりけり
夏日同詠月前郭公和歌
             左衛門尉歳久
誰か世にきゝもつたへむほとゝきす
 みやこのほかの月になくねを
詠月前郭公和歌
             沙弥梁新
わすれめやこゑも雲ゐのほとゝきす
 月にかりなく秋は有とも
夏日同詠月前郭公和歌
             図書助忠長
人を見ぬ山路の月のほとゝきす
 夜よしとたれにつけて啼らむ
夏日詠月前郭公和歌
             摂津守季久
見ぬさとの月はいかにと時鳥
 夜半の寝覚の空に問はや
夏日同詠月前郭公和歌
             重慶
このまよりもれいつる月のひとしほに
 なく音をそふる山ほとゝきす
詠月前郭公和歌
             沙弥珠長
みすもあらぬ雲まの月のかけよりも
 しのひ音たとるほとゝきす哉
詠月前郭公和歌
             沙弥栄訓
明かたの月にすきゆく郭公
 なを一こゑをのこせやまの端
夏日同詠月前時鳥和歌
             武蔵守忠元
保登〃喜須在明濃月之飛度声仁
 於毛賀気幾由類花茂紅葉裳
夏日同詠月前郭公和歌
             景親
ありあけの月にこゑきく郭公
 すたれおろさてうちなかめつゝ
夏日同詠月前郭公和歌
             備前守久秀
むら雨のことのしらへの声よりも
 たゝ月になくやまほとときす
夏日同詠月前郭公倭歌
             神重兼
折しもあれはし居の月にひと声は
 やまの端つらきほとゝきすかな
  天正四年卯月十四日会
(「薩藩旧記雑録」後編1-844)


参会者解説
・修理大夫義久:島津義久
・前久:近衛前久
・因幡守平貞知:不詳 前久にゆかりのある人物か?
・釈其阿:不明 連歌師か
・竹松丸:不明 義久と前久といえばこんなエピソードがあるのでまさかと思うがヾ(--;)
・沙弥玄佐:樺山善久
・上野介久隅:川上久隅
・左衛門尉歳久:島津歳久
・沙弥梁新:不明 北郷時久の戒名は「月庭梁新庵主」だが
・図書助忠長:島津忠長
・摂津守季久:喜入季久
・重慶:不明
・沙弥珠長:高城珠長
・沙弥栄訓:不明
・武蔵守忠元:新納忠元
・景親:不明
・備前守久秀:不明
・神重兼:不明

郭公(かっこう)をネタにした歌会だったようです。四月に郭公というのは決まり文句だったようで 参考こちら

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