ヘンリー八世と島津忠恒（家久）は似てる

ヘンリー八世は有名なイギリスの王様の方です。エリザベス１世のパパといった方が通りがいいかな。

ヘンリー八世については様々なサイトで詳しく説明されていますので、それを見た方が早いですが、何より彼を有名にしたのは、節操のない結婚で６人も王妃を取り替えっこしたことでしょう。中には新しい王妃を娶るために死刑になった人もいます(○｡○)
イギリス国教会を作り、修道院を廃止して王室領を増やしてイギリス王室の権力を高めた専制君主として高く評価する人もいるようですが、国教会を作ったのは自分が離婚したいだけのためにカトリックを廃止したから（カトリックは離婚を禁止しています）、王室領を増やしたのは自分が財政観念０だったために財政が破綻、それを手っ取り早く回復するために修道院領に目を付け難癖を付けたからであって、全然先の見通しもなく、深い考えに基づいた物でもなく、あくまで私利私欲だったのは指摘しておかなければいけないでしょう。

ここまで領土も大きくなくて世界的な有名人でもないので一緒にしたらヘンリー八世に失礼かも知れませんが、非常によく似た人物が日本にもいました。
当HP最大のネタの宝庫ヾ(--;)島津忠恒（家久）です。
さすがにイギリス国教会のような仏教の新派を作りはしませんでしたが、寺社仏閣の領土没収は積極的に行いました。寺社仏閣ばかりでなく、家臣からの領地を没収する「上地（上知）令」を何度も実行しています。それは収入に対して出費が大きかったのが一番の理由でした。出費の多くは徳川幕府におもねるための費用です。参勤交代しかり、徳川秀忠・家光親子を江戸屋敷に迎える”御成”の接待費用しかり。江戸初期でどの大名も徳川幕府にゴマすらなければ取りつぶしの危険が高いという時代情勢もありましたが、まず忠恒（家久）自身が徳川幕府の権威を利用して島津家当主の立場を確保したという事情があり、徳川幕府の御機嫌を損ねるわけにはいかない状況に置かれていました。問題はこれらの出費の補填を新規事業の開拓や、他の自分に関わる費用の削減で捻出するのではなく、家臣や領地の寺社仏閣などへの責任転嫁で生み出していることです。これらの忠恒の行為を「幕藩体制に応じた大名権力の構築に成功した名君」として高く評価する方 」もいらっしゃるようですが、先述の背景から見ると、それは単なる結果論で、とても名君とは評価できないのではないかと考えます。この点も私利私欲で「改革」を実行したヘンリー八世に似てますね。

しかし、島津忠恒とヘンリー八世が一番似ている点。それは「節操のない結婚」です。もちろん、キリスト教の縛りで妻を一人しか迎えられないイギリスと、女囲い放題の江戸時代日本では単純には比較できませんが、最初の妻との”離婚”で悩まされた点が似ています。しかもこれが出来た人物で人気が高かったという点もそっくりです。
ヘンリー八世の最初の妻　キャサリン・オブ・アラゴン→あのイサベル女王の娘。夫の代わりに留守を守りスコットランド軍を撃退するなど実績多数。しかし、王子を産めなかったというそれだけの理由で無実の罪で離婚させられ、以後、実家・スペインに帰国することも許されず、夫に虐待されつつ悲惨な生涯を終える。
島津忠恒（家久）の最初の妻　島津亀寿→拙HP参照

跡継ぎを産んだ妻（忠恒の場合は側室）の生涯もよく似ています。
ヘンリー八世の３番目の妻　ジェーン・シーモア→２番目の妻アン・ブーリンの女官の一人で、跡継ぎのエドワード王子（エドワード六世）を産むが、その２週間後に死去。
島津忠恒の側室で後妻　島津忠清女→拙HP参照

そして、権謀術数を重ねた凄腕の女性の虜になったという点も似てます（爆）
ヘンリー八世の２番目の妻　アン・ブーリン→最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンの女官長で、実妹もヘンリー八世の愛人の一人だったという（ついでに実妹の方がはるかに美人で先に愛人になっていたとも）。妹の境遇を見て自分は正式の妻になるべく策謀を巡らし、遂に悲願を達成するが、肝心の王子を産むことが出来なかったことで急速にヘンリー八世の寵愛を失い、最後は死刑になった。
島津忠恒の側室　鎌田政重女→拙HP参照　もっとも刑を下したのが忠恒じゃないのが救いでしょうか。つか最後まで忠恒はこの人にめろめろあまあまだったようにも思える。

蛇足ですが、ヘンリー八世は偉丈夫かつ武道が好みで、フランスなどあちこちに遠征を行いました。最もその遠征で自らは危険になるような所には絶対出ることはなく、絶対安全な後方でゲームして遊んでいたらしいですが(;￢_￢)。そういや島津忠恒も琉球に遠征しましたね。自分は絶対安全な鹿児島にいて、実際の攻撃は家臣にさせていましたが。