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拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
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第1話 第2話 第3話 第4話

次に、元禄三年当時の佐土原藩の紹介です。表高3万石程度の小藩なので、巻の二十七の5番目、という中間よりやや下の扱いです。ちなみに同じ巻二十七には京極高住(豊岡藩)、朽木稙昌(福知山藩)、『八代将軍吉宗』でラーメンCMで有名だった藤岡拓也が演じたことで有名になった松平頼純(西条藩)などが登場しています。
島津式部少輔源久寿 従五位下
紋 丸に十文字 丸に酢漿   庚午(天正三年)で27歳
正室は松平大隅守光久娘
嫡子は島津又次郎
「島津久寿って、本に載っていた佐土原藩主の一覧にはないんですが」
…という疑問を持ったあなた、実は半分正解だったりする(○。○)
正室と嫡子を含め、家族関係の詳細の説明は後ほど。

紋は島津家名物の「丸じゅー」の他にかたばみ紋もありました。かたばみ紋を使っているのは島津一門では佐土原島津家だけだったので、島津家縁の物と言われて酢漿草紋しか入ってなかったら佐土原島津家関係の可能性は高いです。…但し、何でかたばみを代え紋として使うようになったか、という経緯を知らない…_| ̄|○

話が先走った。ではその久寿の家系の説明をば。
出身地・出生地ともに薩摩国。幼名は「又吉郎」。島津飛騨守久英の養子で、但馬守忠興の孫、兵庫頭義弘には曾孫に当たる。実父は忠興の弟・島津主繕の子である。延宝4年10月25日に家督を継ぎ、同6年に従五位下に叙せられ、式部少輔に任ぜられた。
…いきなり思いっきり間違いが。曾祖父は義弘じゃねーだろ、その従兄弟の右馬頭以久だろうがヽ(`Д´)ノ…もしかして、『土芥寇讎記』の作者、無茶苦茶系図に弱いのか?ヾ(^^;)

先ほど保留にした、家族関係の話を。
久寿は、三代佐土原藩主・島津忠高の次男の久富の息子で、本来なら藩主になれない立場の人だったのが、叔父・久雄、従兄弟・忠高が次々に若死にしたためにピンチヒッター的に藩主となった人なんですな。但し、忠高には実子・又次郎(後の島津惟久)がいたので、佐土原藩士達は「番代」(代理人)としか見てなかったわけです。
更にややこしいことに、久寿の祖母は鹿児島藩家老・鎌田正富の娘で、父・久富は一時、鹿児島藩の家臣として召し抱えられかけたという経歴がある人物(だから生まれが日向国ではなくて薩摩国なのです)。しかも久寿の妻も「松平大隅守光久」こと鹿児島藩2代藩主・島津光久の娘。鹿児島藩は本家風を吹かせて、たびたび佐土原藩にちょっかいを出していたので、佐土原藩中の人々が久寿を見る目は冷たかったわけです。
しかも佐土原藩は2代・忠興から4代・忠高まで40歳を越えられないと言う若死当主が続いており、それをいいことに2代藩主忠興の生母の出身家の松木氏が筆頭家老となって藩政の実権を握っていました。

こうして、久寿を通して佐土原藩を実質支配下に置こうとする鹿児島藩と、その動きを冷ややかに見る佐土原藩士達、そして、久寿を追い出して幼君の元で我が世の春を謳歌したい松木氏の三つ巴のバトルが展開され、佐土原藩政は混迷を深めてしまうのでした…
元禄3年は先代藩主の嫡子・又次郎が16歳となったことで遂に江戸幕府が介入し、久寿が引退に追い込まれる年でもあります。その後幕命により島津又次郎惟久は佐土原領から3000石を久寿に渡し、久寿一族は以後幕府直下の旗本として、終始江戸で生活し、佐土原藩とは無縁の人物として生きていくことになるのです。



佐土原藩自体の説明については次回に続く。

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