拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
本日NHKで放送された[白鳳]という番組の録画を見て気になったこと。
この番組は、9/23日まで奈良国立博物館で開かれている同名の展覧会のPR番組だったようです。展示されている文化財の紹介よりもどちらかというと関連講演会の方が多かった。
この講演会で一つ気になる発言があったんですが
この番組は、9/23日まで奈良国立博物館で開かれている同名の展覧会のPR番組だったようです。展示されている文化財の紹介よりもどちらかというと関連講演会の方が多かった。
この講演会で一つ気になる発言があったんですが
漫画家で、最近は「古代史評論家」「古代史研究家」としての露出の方が多い里中満智子氏が、今回の展覧会に出品されている法隆寺の伝橘夫人念持仏について、橘夫人=県犬養橘三千代として三千代論を展開されていたこと。「へ?アレは橘三千代の物という説が確定しているのかいな?」と疑問に思って検索してみると、世間一般的にはそういうことになってるみたいだ_| ̄|○
法隆寺・橘夫人念持仏 - 橘夫人厨子に安置された、銅製の阿弥陀三尊像。光明皇后の母・橘夫人のもので[2]、日本最古の念持仏である[2][4]。国宝。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%B5%E6%8C%81%E4%BB%8F
※下線はばんないによる補足
※なお出典元は『日本大百科全書』第18巻、小学館、1994年、第2版、p.311とのこと
だがしかし!あの念持仏を「橘三千代の物」と断定している史料は一つもないのだ。
先述したように国宝としての登録名は「伝橘夫人念持仏」で伝承として伝わっているだけ。法隆寺の宝物一覧表としては一番古い史料「法隆寺伽藍縁起并流記資財帳」(ちなみにこれ自体も国宝)では「宮殿厨子二具」として書かれているだけなのである。ちなみに厨子の内のもうひとつがこれまた国宝の玉虫厨子と推測されている。
法隆寺の公式HPでも「蓮池の上に座す金銅阿弥陀三尊像を本尊とする橘夫人厨子(白鳳時代)」とあり「橘三千代」とは断定していない。
ところで法隆寺に深く関わっている「橘夫人」というのがもう一人いる。
それは橘古那可智(聖武天皇夫人)。橘三千代の孫にあたり、法隆寺に自分の屋敷を寄贈している。
この念持仏が所謂白鳳文化の形式を持っていることまでは否定しないが、古い仏像でも人から人へ伝わって後の時代に法隆寺に寄贈されたという可能性もあるだろう。
つまり、あの念持仏は橘三千代の私物という前提で説を展開するのは止めた方がいい。
…でも有名出版社が出している百科事典でも断定して書いてるし、この誤謬はそう簡単に改まらないんでしょうねシクシク
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