拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
木曜日の夜9時に放送されているNHKBSプレミアム『ザ・プロファイラー』の12/8のネタはなんと
石原莞爾
です。
今後彼を取り上げた番組が作られる機会もそうそうないかと思いますので、ご興味のある方は如何でしょうか。
ゲストは一ノ瀬俊也氏と川田稔氏の予定の様なんで、評価は辛口傾向と予想してます。
石原莞爾
です。
太平洋戦争に反対した元・陸軍官僚がいる。一連の戦争の契機となった満州事変を引き起こした張本人・石原莞爾である。石原が満州事変を引き起こした背景には、将来、日米による「世界最終戦争」が勃発するという独自の考え方があった。その最終戦争に備えるため、日中戦争では、戦線拡大に反対。東条英機と対立し、陸軍を追われる。石原莞爾の生涯が我々に問いかけるものとは?ご存じの通り、満州事変を起こした人物なので取り扱いが難しいためか、私の記憶で彼を取り上げたドキュメンタリーは、20年以上前にテレビ朝日で放送された『満州国』ぐらいしか存じません。
(『ザ・プロファイラー』公式HP紹介より)
今後彼を取り上げた番組が作られる機会もそうそうないかと思いますので、ご興味のある方は如何でしょうか。
ゲストは一ノ瀬俊也氏と川田稔氏の予定の様なんで、評価は辛口傾向と予想してます。
個人的には石原莞爾が「元庄内藩の出身」というのが、独特の終末史観を作りだしたように思えるんですね。
庄内藩というのは幕末に奥羽越列藩同盟の中でも会津藩、長岡藩と並ぶ強硬派で、特に大政奉還後に江戸で暴れた浪人の挑発に乗ってしまい、これが戊辰戦争の直接の原因になってしまいます。なお、この「浪人の挑発」の黒幕が鹿児島藩、と言うより西郷隆盛を始めとする薩摩の討幕派というのは有名かと。
そして、庄内藩はその戊辰戦争でやられてしまうわけですが…
その後斗南藩への懲罰的転封など辛酸をなめた会津藩に対し、庄内藩に対する処遇は寛大な物で、転封もありませんでした。これに関わったのが西郷隆盛で、それをきっかけとして、庄内地方は鹿児島県に次ぐ西郷シンパの多い地域になります。西南戦争時も多くの元庄内藩士が西郷を担ぐ薩軍に加わりました。これは多くの元藩士が復讐の念から官軍に参加した会津藩士とは大きく異なります。
その西南戦争が終わった12年後(明治22年)に石原莞爾は誕生します。
『石原莞爾とその時代』によると、その頃の庄内地域は小学校で「西郷南洲遺訓」が必ずそらんじられる一方、西郷に恩義を感じていた元藩主・酒井家が明治政府に反発して地元に帰ってしまったため、かえって江戸時代以来の封建的な制度が根強く残る地域になってしまっていたようです。
莞爾は旧藩主一族を江戸時代以前の旧体制の象徴としてかなり憎んでいたようで、昭和17年頃に酒井伯爵家が地元でパーティーをしたとき、招待された莞爾が最終階級の中将の正装で表れたために、主賓の酒井伯爵より莞爾の方を上座に置かざるを得なくなり(※当時のプロトコールで軍の中将は伯爵より上と決まっていた)嫌がらせに困ったという話も伝わっています。
小学校の時から西郷隆盛の教えをたたき込まれる一方、その西郷らが起こした維新の恩恵が届かず江戸時代そのままの身分制が残っている中で成長した莞爾が「もう一度明治維新をやり直さなければいけない」と考えたのは大いにあり得るでしょう。事実莞爾は「昭和維新」という言葉をよく使っていたようです。
※「昭和惟新」はもともと2.27事件を起こした"皇道派"将校達がよく使っていたが、"皇道派"将校は莞爾を味方と見る者(永田鉄山を暗殺した相沢一郎など)もいれば敵側(”統制派")の一人として敵視する者もいたようだ。
もうひとつは、先述のようにかなりの危ない行為の末に明治維新が成功したのを知っていた莞爾が、「勝つためならどんな手段をつかっても良い」という考えを持つようになったのではないか、と言う事。
日露戦争後、日本の急成長を警戒したアメリカでは次第に「黄渦論」が盛り上がり、日本からの移民の締め出しも法制化されますが、これに莞爾は激昂したことが残された手紙から判明しています。当時の日本陸軍では「日本の最大の敵はロシア(ソ連)」だったようなのですが、莞爾はこういう状況から「日本の最大の敵はアメリカ」と考えるようになったようです。その後の莞爾は「アメリカはいずれは日本をつぶしに来る、どうやったらアメリカのような巨大な国に日本が勝てるか」と言うことばかりを考えるようになり、その結晶が有名な『最終戦争論』だったのではないかと考えているのですが、そのアメリカとの戦争に勝つには日本本土だけでは貧弱で足りず、どこかに資源を供給する「場所」が必要です。それを確保するための"作戦"があの満州事変で、それを起こすために数々の謀略をこらしたのも有名な話ですが、これも戊辰戦争で痛い目に遭っていた旧庄内藩出身の莞爾には「勝つためならどんな手段でもつかっても良い」という考えがあり、良心の呵責とかあまり無かったんじゃないかと。
…余りまとまりのない文章ですが、良いタイミングなのでこの機会に書いておこうかと思いまして。ご容赦。
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感想です
自己レスです
今頃になってようやく録画拝見しました。
やっぱり1時間じゃ無理か~、と言うのが感想。内容が表面をなぞるだけというか平板というか、平凡。ヾ(^^;)
ビデオ出演で『未完のファシズム』の片山杜秀氏や『地ひらく-石原莞爾と昭和の夢』の福田和也氏が出ていたのですが、このお二方がコメンテーターでスタジオ来た方が良かったんでは(^^;)。
個人的には松本健一氏がご存命だったらなーと思わずにはいられませんでした。
あと、番組では莞爾の反米的傾向を大恐慌のころからみたいに描いていたように記憶していますが、実際は第一次世界大戦頃からですね(莞爾が妻に宛てた手紙で、アメリカの移民排斥への反発を延々と書いた内容の物が残っています)。
今頃になってようやく録画拝見しました。
やっぱり1時間じゃ無理か~、と言うのが感想。内容が表面をなぞるだけというか平板というか、平凡。ヾ(^^;)
ビデオ出演で『未完のファシズム』の片山杜秀氏や『地ひらく-石原莞爾と昭和の夢』の福田和也氏が出ていたのですが、このお二方がコメンテーターでスタジオ来た方が良かったんでは(^^;)。
個人的には松本健一氏がご存命だったらなーと思わずにはいられませんでした。
あと、番組では莞爾の反米的傾向を大恐慌のころからみたいに描いていたように記憶していますが、実際は第一次世界大戦頃からですね(莞爾が妻に宛てた手紙で、アメリカの移民排斥への反発を延々と書いた内容の物が残っています)。