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拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
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中江丑吉の肖像』は、1991年に剄草書房から出版された、中江丑吉本としては最新の物です。…と言っても20年以上前になるのね、1991年は私にとってはついこのあいd(以下自粛)

阪本芳直氏の中江丑吉関連の随筆や論文をまとめた物で、『中江丑吉という人』や『中江丑吉の人間像』等に出てきた物と重複する物が多いです。
この本だけに出てくる今田関連論文は
・三通の未公開書簡について
・今田新太郎-五十年前の一枚のハガキから-
です。
2つとも長文なんで転載はしないヾ(^^;)図書館で借りて読むor古書を買ってみて下さい。
特に下の「今田新太郎-五十年前の一枚のハガキから-」は現在今田新太郎を単独で取り上げた唯一の論文と言ってよい物であり、かつ、柳条湖事件を新たな視点から切り開いている物です…のわりにはこれを使った満州事変論文や本を管見で見たことない…_| ̄|○
当時35歳の今田新太郎が中江丑吉に送った無邪気な内容の手紙(しかし、実は柳条湖事件に関係するいろんな事をバラしてたりする)は必見です。いや新太郎は丑吉になついてるんねー本当にお兄さんと思ってたのねー…と言う事を感じさせます。男兄弟いなかったからかな新太郎。



この手紙だけでもピックアップしてみるか。原文は漢字カタカナ交じりですが、変換面倒なので漢字ひらがな交じりでいく。
御研究連日のこと、存じますが、御身御大切に祈り上げます。先日上海の宮本さんから手紙ありました。北平の原さん彼の地に行かれたそーです。私の妹の桜という婆々(亭主は外遊中)が目下斉藤博士(ほのぼのと諸国)の弟子で通ってますが、同博士が北平に行ったとき、誰からか転書を貰って「あなた」に面会のはずのところ、其機がなくて残念だとか妹に言ったそうです。多分笠山大夫の「かべ」にあった歌は其時かなと存じます。私、目下下女一、書生一、来月もう一人書生が来る筈です。頗る「のんき」にかまへてますが、性来の鈍物、ちっとも頭の方がすすみません。折角御加餐の程祈ります。
 四月二十九日                   拝呈
<余り当てにならない補足>
・上海の宮本さん:満鉄の宮本通治氏か?(阪本芳直氏注)
・北平:現在の北京のこと。
・原さん:満鉄の原武氏か?(阪本芳直氏注)
・妹の桜:新太郎の妹、結婚して「渡部」姓に。
・亭主は外遊中:桜の夫は仕事でヨーロッパに出張に行っていたが、その出先で満州事変勃発を知り、「これは日本の陰謀である」旨の現地新聞記事切り抜きを妻の桜に送っている。あと、日本円が一気に下落したのですごく苦労したらしい…(「今田新太郎-50年前の一枚のハガキから-」)
・斉藤博士:斎藤茂吉
・ほのぼのと諸国:原文ママ
・転書:おそらく「添書」の間違い(阪本芳直氏注)
・笠山大夫:笠山医師
・下女:今田は今回の転勤の際、女中を連れて行った。詳細拙ブログこの記事
・書生:雄峰会の片岡駿。戦後も右翼運動家として活躍した。
・もう一人書生:雄峰会の奥戸足百。片岡同様戦後も右翼活動家として活躍。なお神兵隊事件で投獄されている。

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