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拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
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これは、実は桐野作人氏のブログにコメントした物の続きだったりします(ヲイ)
他、さつま人国記関連記事はこちら


戦国島津家の女性を主に調べていた私にとって、この記事はとても衝撃的でした。
だってあのお椀ヘルメットヾ(--;)の黒田家と島津家が親戚になる可能性があったとは…全然知らなかった_| ̄|○ 不覚
ただ言い訳すると知らないのも当たり前で、この話は管見では島津側史料(島津家文書、「薩藩旧記雑録」など)には全く見えないのです。島津家にとって都合が悪かった?のかどうか???、縁談は記録の上でもなかったことになってしまったようだ…。

島津家にとって都合が悪くなった?理由としては以下のことが考えられます。
島津家と仲の良かった細川家と黒田家が不仲になったことです。
これについてはで、山本博文氏が非常に詳しく紹介されてます。知りたい方はそちらを呼んでもらうのが一番よく分かるかと思いますが、簡単にまとめますと
「領地替え(黒田家:豊前(現在の大分県中津)→筑前(現在の福岡市)、細川家:丹後(現在の宮津市、舞鶴市)→豊前(現在の北九州市小倉)の際、豊前前任領主の黒田家が当時の慣例である“その年の年貢は置いていく”を実践せず、ぜーんぶ自分の物にしてしまって、後任の細川家(もちろん丹後のその年の年貢は置いていった。常識だよねw)がある物と思っていた収入がない事態に陥りピーピーになったから」
要は「金の恨み」である。
この細川家、実は黒田家より遙か前から島津家とは縁が深かった。前当主・細川幽斎は島津義久の和歌の師匠でもあり、室町幕府がらみで早くからつき合いもあり、豊臣政権時代も秀吉との中継ぎ役の一人であった。現当主・細川忠興も、「島津家文書」や忠興の書簡によると島津忠恒(今さら説明するまでもないが、義久の婿養子で島津義弘の息子である)と仲が良かったらしい。
しかし上記の事情により、黒田家と細川家は公然の不仲となった。しかも困ったことに、黒田家は福岡で55万石、細川家も小倉で39万石の大大名である。同じ九州の大名・島津家としてはどちらを立てるか、去就を迫られたであろう。…結局島津家が取ったのは細川家だったと考えられる。そう考える理由はその後の「島津家文書」を見ると明らか、細川家からの書状は多数ある物の、黒田家関係の書状は皆無の状態になってしまうからである。関ヶ原で西軍(反徳川)についてしまい、その後も徳川家とは微妙な関係にあったと思われる島津家としては、双方とも東軍で活躍し名声高い黒田か細川かどちらを立てるかは重要な問題だったと思われるが、結局は豊臣秀吉の九州御動座以降のおつきあいしかなかった黒田家より、昔からのつきあいである細川家を取ったという所ではないだろうか。

なお、島津家、黒田家、細川家のその後だが
島津忠恒(後「家久」)と細川忠利の代までは友好につき合っていた島津家と細川家だが、忠恒(家久)が死に代替わりして光久になると、どうも疎遠になっていったらしい。これも前掲の山本氏の本に詳しく書かれているが、徳川家に気に入られていた細川忠利が島津光久に先輩風を吹かせ、光久に煙たがられたのが原因のようである(爆)。これと合わせて私が思うのは、島津光久は母方が徳川幕府に嫌疑を受けた切支丹に繋がるという胡散臭い出自であり、どうもお節介のおしゃべり(※)と思われる細川忠利を警戒したのではないかと。
※島津光久自身が細川忠利のことを「お節介やき」(意訳)といった史料が現存している。前掲の山本氏の本で紹介されている。

一方の黒田家だが、黒田長政の息子・忠之の代であの有名な「黒田騒動」を起こし、幕閣に対する発言力は細川家より低下する(一方の細川家は徳川幕府に覚え目出度く、小倉から熊本への転封も島津家への影響力を見込んだ幕府の抜擢だったとされる 山本前掲書参照)。黒田家より細川家を取った島津家のもくろみはあたったことになる。
…ところが。江戸時代中期、突然黒田家と島津家の間に縁談がまとまった。時の黒田家世子・重政と島津継豊の娘・菊姫が結婚することになったのである。この縁談はどうも黒田家から話が持ちかけられた物で、その理由は、菊姫の母・竹姫が徳川吉宗の養女(元々は徳川綱吉の養女)で将軍家と縁続きだったからであった(参照『徳川将軍家の結婚 (文春新書)』)。これが縁となって、その後黒田家は島津家から婿養子を迎えるまでになってしまった



江戸時代初期にいったん疎遠となった黒田家と島津家だが、ひょんなきっかけから江戸後期には島津家の黒田家乗っ取り?にまで至る関係となった。ちなみに明治時代になっても、黒田家は島津家から妻を迎えたりしている
一方、江戸時代初期には親近関係にあった細川家と島津家だが、その後、当主同士の些細な性格の不一致から疎遠になってしまった。
…人間関係ていうのは分からない物である。

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