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拙HP「戦国島津女系図」の別館…のはず
『続日本紀』によると
和銅元年(708年)、元明天皇主催の宴会で天皇自らより杯を賜り、その杯の中に入っていた高級果物「橘」にちなんだ姓を賜った人物がいました。
天皇自ら杯を賜るだけでも大変な栄誉なのに、更に苗字すら賜ったというのだから、この人物がいかに破格の待遇を受け、また元明天皇の信頼厚かったことが伺えます。
が、この人物は驚く無かれ「女性」でありました。
彼女の名を 県犬養三千代(あがたのいぬかい・みちよ)といいます。

彼女がいつ産まれたかは不明であります。
彼女の父は県犬養東人(あずまひと)といい、同族の県犬養大伴(おおとも)が「壬申の乱」に参加して勲功を建てたようであります。が、過ぎること天平宝字元年(757年)に「壬申の乱」の兵士が再評価されましたが、その時に大伴の名前はないところから考えると、とりあえず「参加した」と言うだけで、大した軍功は挙げられなかったと思われます。
しかし、それまでの記録に全く「県犬養」氏は登場しなかったのに対し、このことで中級官人としての地位をつかんだようです。天武・持統期になると『日本書紀』にたまにではありますが「県犬養」の字が見えるようになります。

そもそも「○犬養」氏とつく氏族は多く、彼らの多くは「門号氏族」といって、宮殿の各門を守るのが仕事でした。
その役目故に”武力”として頼まれることもあり、例えば「乙巳の変」(645年・一般的に「大化改新」というとこの事件だけを思いつく人も多い)で、蘇我入鹿切り込み隊に加わっていた一人に海犬養氏出身者がいました。
海犬養氏は県犬養氏とは同族といわれています。
話が脱線しましたが、県犬養氏も例外ではなく、現在京都御所で「安嘉門(あんかもん)」といわれている門は、元々は県犬養氏の一族で死守していた門でありました(「安嘉」という門の名前も「県犬養(あがたいぬかい)」がなまった物と思われます)。
要するに県犬養氏は余り有力でない、むしろ中下級の豪族だったのです。

中級豪族・県犬養東人の娘として生まれた三千代は、成人してから宮中に仕え始めたようです。

天武天皇死後、女帝・持統天皇の時代になると、見てくれの良さではなくて、実際に女帝の手となり足となり働く実務派の女官が大量に必要となってきました。
例えば
天武天皇など男性天皇の場合、後宮女官=お妾さん候補?!でもある(最ものべつまくなしに手を付けたわけでなく、地方豪族からやってくる女官-采女(うねめ)-にお手が付くことが多かったようです)そのため、女官にも美貌が要求されたと考えられます。
一方
女帝は女性(当たり前の話だけど)。政務を行う上で特定の男性を近づけることで、変な噂が広まったりすることを恐れたためであろう、女官を通じて命令のやりとりを行ったのです。
そして、県犬養三千代はそれら実務派女官の末端として働き始めたと考えられます。

また、県犬養三千代は、このころ美務王(みぬおう)という皇族と結婚しています。
但し、皇族といってもこの頃には非主流になっていた系統の出身でした。

<参考系図>
敏達天皇―難波皇子―大派王―栗隈王―美務王

県犬養三千代

しかし、美務王の父・栗隈王(くるくまおう)は、「壬申の乱」の時、筑紫大宰(つくしのおおみこともち)といい、後の太宰師(だざいのそつ・太宰府の№1)の役人を務めていたこともある人物です。
またその時には近江朝(大友皇子側)に味方しなかったことから、天武天皇の覚えもめでたいものがあるだろう…。
そういった考えの上で、県犬養三千代は美務王の妻となったと推測されます。

これだけでも、県犬養三千代が、単なる「中級貴族の娘で女官」というだけではなく、既にこの時点で大変権勢欲が強い女性だったことが伺えましょう。

…つづく

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